えいごたどく功徳 4.多読リミットをカガクする
1.リテラシー教育の1歩目は「リズム(=シラブル)」
1)わらべうたと遊び
娘の場合は、単語の読み間違いが少なく、シラブルは殆ど間違えませんが、これは幸運な経験があったからです。幼少期に 英国人ハーフのSちゃんと 英語の「わらべうたあそび」で遊んでいたからです。Sちゃんのおばあさまはロンドンの幼稚園の園長先生で「わらべうたあそび」のプログレス教育者でしたから、母親たちが無駄話をしている間に、次から次へと教えていただくことができました。当時のロンドンでは、マザーグースの幼児期導入について、見直しをはかっていたのだそうです。
さて、有名な「Hampty Dumpty」を音節(シラブル)ごとに分けてみます。/で区切りながら読むと、なんとなーく発音もよいっぽく思えるからフシギ。理屈じゃないですよね、音だから。
まずは、単語を音(節)ごとに分解して遊ぶ…文字を「音(節)」の最小単位でとらえる…それが第1ステップ。だから、ライミングで楽しみながら同じ音を使う…と効果があがります。
Ham/pty/ Dum/pty /sat /on /the/ wall⇒8個(ドミレファソラシド)
Ham/pty / Dum/pty/ ha/-d a /great/ fall
All /the/ king's /hor/se/s,And/ a/ll / the/ king /'s men,
Coul / dn' /(- t )/ put /Hum /pty / to/‐ge /‐ther / a /gain.
2)わらべうたは「リテラシー見本」で「文章の見本」ではない
米国の小学校授業では「リーディング」の授業と、「リテラシー」授業は、分けられています。現在は どのようになるのか、分かりませんが わたしがリサーチしていた10年前は、
リーディング授業では 絵本の読み聞かせやストーリーテリング、指読み(リードアラウド)から始まり、コミュニケーションスキル、ソーシャルスキルを学習します。
リテラシー授業は、わらべうたで手遊びやハンカチ落とし、なわとび、スキップ、楽器などを使い、その後「書き」につなげ、小学校高学年で 初めて フォニックスを履修します。
簡単に聞こえるわらべうたであっても、文法やスペルとなると難しいものも少なくなく、そこがORTのできた所以です。当初のORTは、マザーグース絵本でしたが、あまりに難しすぎて 書くこと、読むことにつなげづらかったために、現在のかたちになっています。
皆さんがよく知っている「ロンドン・ブリッジ」を 音がわかるように あえてカタカナライズしてみると2番は こうなります。
Build it up with wood and clay, ⇒ビーリラップ ウッデンクレイ
Wood and clay, wood and clay, ⇒ウッデンクレイ ウッデンクレイ
Build it up with wood and clay, ⇒ビーリラップ ウッデンクレイ
My fair lady. ⇒ マイ・フェア・レディ
日本人は t をきちっと発音する傾向があるせいか、ビールツイッウィズアップ とやりがちなんですが、音素上は d、t、P に Lが絡まると、なんだかフクザツになって、消えていく音が出てきます。
この摩訶不思議な変化は もう体感して超えていくしかない部分で、耳で聞いて分かる…ようにするには、どんだけ学習しなくちゃならないだろ?と気が遠くなります。
わらべうたは、それを最短距離にするためのモノ、といってよく 決して「やさしい英語文」とは言い切れないので、幼児向けと思っているとヤケドします。
②フォニックスは、リテラシー教育の終盤
ふんだんに音を聞いてから文字と一致させて、徐々にレベルをあげていく…というプロセスが欧米やアジアではとられ、その終盤がフォニックスとなるので、小学校高学年意向がフォニックスの取り組み時期になります。日本国内では最初に教えている場合も少なくなく、そのために 英語が苦手となるタイプもいるでしょう。
シラブルを「分解」とするなら、フォニックスは「構成、たしざん」にあたる取り組み。見知った「音文字」を使って、単語をつくる…いわば建築のような作業です。音に関係なく文字を追える脳タイプもないわけではないですが、ごく少数で、ほとんどの場合は
音分解(フォネミックアウェアネス)⇒音定着⇒音構成…の順に理解をすすめます。
③「単語スペル」は最後の最後
ABC文字を覚えたら、次の瞬間「アプル」という音と同時に「appleと書いてごらん」と教えてしまうのは、おそらく日本くらいではないでしょうか。とりもなおさず日本語の特性から、日本語学習にはリテラシー教育が必要ないためです。
Aという文字は4パターンの発音があります…と教わりますが、日本語では そのような文字はありません。なので、パターンを身につける必要もなく、文字ルールを覚えればいいだけになっています。
ABCは そうはいかず、単語スペルの前座に「うたってうたっておどっておどって」に数年かけて、それから その単語にまつわる絵本を読んで…と数年かけたのちに、「アプルと書く」ことができます。同時にやらせる…なんて、本当なら曲芸技なのです。
④英語科教育でできなくてもヘコまないこと
できなくて当然です。むしろ、できるほうが何らかの傾向(ADHDや自閉症スペクトラム)の副産物としての才能を有している、と考えたほうがいいくらいです。
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