俳句はじめたぁ~♪の「父」の句4つ。
1.父と俳句と。
「短日や書体父より祖父に似る 廣瀬直人」
わたしの祖父は俳人であったのですが、生前、父の文才を褒めていました。
父はこれからという時に亡くなり、祖父のように句が残らなかったのです。
団扇やら、家の壁やら、友人へのハガキやらに、父が筆ペンで書き残した句…、
祖父が喜んでいたように、私も父の句が好きでした。
父が52歳で他界したから、わたしが52歳になるまでにまとめよう、と思っていたら、
その年に夫も癌になってしまい、それどころではありませんでした。
1句目は「短日」が季語、秋分以降。わたしの気持ちに、フィットします^^。
2.やってみたら、さっぱり。
「藪入や父が遺愛の硯箱 沼澤石次」
さあ、父のモノをまとめてみようと思ったら、妹も母も、
なんだか ちょっと呆れた様子、父のノートも行方不明。
へえ!お姉ちゃん、そんなこと思ってたんだ、びっくり。
思い出して、書き出してみても、ホントさっぱり。
祖父や父の横にいて、なんとなしに分かっているつもりが、全く分からず。
YouTubeを見たり、本を読んだりしたけど、どうもそれでは無理のよう…。
挙句の果てに、季語の辞典を買おうにも、どれを選んでいいかも分からない…
なんとまあ、父も祖父もすごかったんでしょうね。それから、世の中の俳人全員。
これは、自分が俳句やらないとできないんだなぁ。
2句目は、藪入りが新年の季語、祖父が好きな句でした。
3.初めての句会で分かったこと
「父祖の地に闇のしづまる大晦日 飯田蛇笏」
初めての句会で、兼題のひとつが「除夜の鐘」、その昔父が詠んで皆に絶賛されていた句を早速選びました、というか、自分は思いつかない。
妻うつや男勝りの除夜の鐘
わたしの実家は年子3人兄弟で、並々ならぬ苦労を母にかけた父でした。
お酒がすごくて、夜も遅いし、出張も多いし、変な時に家にいて暴れる、お客も多い。
除夜の鐘は、家族一緒の唯一ともいえる恒例行事で、長時間寒い中を並んだものでした。
父が、母をそのように詠んだこと自体が感動だったのです。
ところが。現在、文字に落としてみると、そうでもない。
なんとかハラスメントはともかくとして、女性も働くことが当たり前の現在、
父が伝えようとした「母の強さ、女の強さ」は、よく分からない、ぼやけたかんじです。
45年の時がたって…まさに「遠くなりにけり」な情景なんですね。
句会に出したら、やはり そんなかんじで、すごくショックを受けました。
4.建物がかわると、風景がかわる。俳句は?
「端居してたゞ居る父の恐ろしき 高野素十」
わが子が「縁側」や「戸袋」を知らなくて、びっくりしましたが
マンション住まいでは当然です。
俳句は文語、古語が多いですから、漢字の読みも難しければ
生活の中のモノであっても、今はなくて分からなかったりもします。
一方、初めての句会で「分かる!」と思った句があって…
カーテンを干して…〇〇〇〇
マンションでは、雨戸がありませんから、大掃除や季節の変わり目に
カーテンを洗って干す方は少なくないと思うのです。わたしも、そう。
天井のすす払いをして、カーテンをかけかえて…が年の暮れなんですね。
いいな、って私は思ったのですけど、もともと「カーテン」は夏の季語なので
ばしっと切られてしまっていました。
マンション組の私はちょっと応援したくなりましたけど、
今後、こうしたことは増えるかもしれません。
表題は「端居(はしい)」が夏の季語で、縁先や窓辺で涼気を求めくつろぐことだそうですが、私も初めて知りました。俳句の世界は、あらたな情景に、どう寄り添うのかな、子どもたちの世界に、どのくらい日本の季節の美しさを残せるのかな…ちょっと興味津々です。
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