はじめまして…から始まる「住民台帳」への道
本業が忙しくなるので、たいへん恐縮ですが
当年度のプレゼン等のオファーは全てお断りしています。
ご質問を受けることが多いのが「住民台帳」です。
そこで、うちの自主防災会のフォーマットを初公開いたします。
ただし…ですが、LINEとマイナンバーの普及によって、時代は変化しています。
当自主防災会も、委員会はLINEにしていて、
1月1日の安否もあっという間に終わりました。
また、河野デジタル大臣は宮城県の避難所設営でマイナンバー受付をした際の
おはなしをしてくださいましたが、IT弱者でも可能な希望ある結果でした。
1.「初めまして」からスタートしました。
うちの自主防災会は、3.11をきっかけに立ち上げましたが
それまでは「隣近所の顔と名前が一致する」と回答した方は1割以下、
管理会社では創設時の区分所有者(オーナー)の名前しか分からないとのことでした。
そこで、まず3役をつくり、月1回の定例会を行いながら
任意団体を立ち上げ、現状のあぶりだしと課題集約に務めることとしました。
定例会もつまらないといやですからね、毎回 それぞれが
防災食をつくって持ち寄ることにしたのです。
まあ、食べるのが好きな人でよかったです。とにかく、よく食べたなぁ。
まずは 3.11の被災状況リサーチを掲げて、戸別訪問を行いました。
管理会社への不満がかなり高く、思った以上に被災した方がいらっしゃいました。
一方で、現状の生活が福祉的に困難な方や独居高齢者の課題も、同時に見えてきました。
2.専門家をあぶりだす=応援団をつくる
3役のうち、1人は私でしたが、あとはヘルパーさんと医療関係者でした。
それが、ラッキーだったと思います。
近い将来に、福祉課題で日常が行き詰まることが見えたからです。
そこで、災害対応を見すえて「災害たすけあいシート兼アンケート」という
フォーマットを作成し、全戸配布を行いました。
私どもの目的は、災害時のサポートをして下さる方を見つけること、
災害時に専門知識で支えてくれる方を探すことでした。
ですから、書式には 2つ掲載しました。
●以下の経験や資格をお持ちであれば、お知らせください(任意)
●災害時に、専門的知識でサポートをお引き受けくださいますか?
その結果、医師、看護師、介護士、薬剤師、保育士、栄養士、調理士、
1級建築士などの方々がいることが分かりました。
また、設問にないものの、公務員であるため災害時は協力できないけれど、
平時であれば協力します、といったコメントを書いてくださる方もいました。
資格はないけれど、自分は子どもが好きだから何か手伝いたいというコメントや、
ありがとう、こういうことをしてほしかった、というコメントも。
3.マンション課題への回答は住民自身がくれました。
マンションの孤独死がニュースとなっていた頃、独居高齢者から
話を聞いてほしいと連絡があり、訪問しました。
私を助けてとは言わないの、だって好きで一人だったんですもの。
でもね、もしも死んでしまったら、甥っ子のことだけは可愛がってきたの、
せめて、その子に知らせてほしいの、そういうのって頼めないのかしら?
驚いたことに、同じようなご相談が複数件ありました。
そこで役員会で何度も審議を重ね、ご連絡先を預かります、個人情報は●●で扱います…と
したら、それぞれから30~50名のリストを見せられました。
要は、お葬儀のリストなんですね。
3役でうなりましたねぇ…お一人で生きる覚悟の見事さ。素晴らしいです。
だけど、72世帯のすべてに対して、50件ずつご連絡先を預かれば、
災害対策本部は それだけでつぶれてしまいます。
何度も話し合った末に、上限をつけて、1人3件まで…としました。
4.家族がいても、遠くの身内に安否を知らせたい。
翌年も「災害たすけあいシート兼アンケート」を実施しましたが、
殆どの世帯主が、この「同居者以外の連絡先」の3件を埋めていました。
任意…としているのに、全世帯が ご記入してきたことに不安を感じて
逆に、訪問して質問することにしました。
え?お願いしちゃダメだったんですか?
わたしも夫も実家が遠いですし、
たぶん電話もつながらないと思ったので、書いたんです。
まあ、皆さん そんなかんじでした。
3件×72世帯か…話し合った末、
ケガや死亡時などの連絡に限ること、
将来的にデジタル化で解決をはかることを念頭に
そのまま お預かりすることとしました。
5.愛すべきクレーマーさんたちの対応こそ防災の醍醐味
さて、ここまでは心温まる、いいお話かと思います。
ところがですね…
一方で、攻撃的なクレーマーもいるのです。
自主防災会で動こうと思ってらっしゃる方は、
そことの闘いなんじゃないかなぁ。
必ずある…と思ってると、根性座ると思うんですね。
だけど「いいことしてるのだから、感謝されるはず」とかって
思っちゃうと、しっぺがえしを食らいます。
大体のクレームは、法律や制度を知らないことが原因ですが
平時である程度の対応ノウハウをつけておかないと、有事で苦労します。
そこで、タイプ別の経験を書いてみます。
【あんぽさん】
時に、安保世代さながらの「権利主張」をする方がいるんですね。
平等と権利と自由と。
あんぽさんには、世の中のすべての人がしているように、黙っている方が得策です。
大体は、個人情報保護法を持ち出してくるのですが、そもそも目的外使用だし、
そもそも5000件以下は対象外だし。
ちゃんと法令法規を知らないんだなぁと思いながらも、黙って聞いてます。
あんぽさんの拳は、本当は違うところへ向かいたいんだなぁと思いながら。
あんぽさんは、民主主義でもあるので、多数決には弱いです。
どうにもならなかったら、多数決の議案に持ち込みます。
【筆まめさん】
お手紙をもらうことも少なくないのですが、下さる方は概ね高学歴で、
達筆の上、誇り高きジェントルマンです。
わたしは相手がとる連絡ツールに合わせることにしているので、
お手紙には、お手紙を返してきました。
その結果、1回に3~5枚じだての長い長いお手紙を 5往復しています。
さて、その際、後で訴訟されてもよいように、きちんと複写をとり、
弁護士さんや防災のプロなどに相談すること。
ボランティアでしていることで、訴訟されては意味がありません。
【わたし目線が強い、いい人さん】
自分なら誰かが助けてくれるはずだ、だって自分はいい人だから…
自分が間違うはずはない、だって自分はいい人だから…
いくら制度や仕組みを説明しても、一切理解しません。
「いい人」パスポートは全てに最優先される免罪符です。
自助備蓄でいうならば、
私の備蓄は他の誰かが用意してくれるはず、だってわたしはいい人だから
となります。
もしかしたら、これが一番タチが悪いかもしれません。
「いい人」よりは「わたしはすごいぞ」という方の方が、制度やしくみに
耳を傾けてくれるからです。
全体俯瞰ができないので、障碍者や乳幼児などの弱者が目に入りません。
平時はピント外れで扱いづらく、有事には、1人では何もできず、
何時でも迷うことなく 自己優先されると信じています。
一方で、老人性うつ病の可能性ももっています。
ですので、平時には、複数人で安否を見守り、
有事にはリスク発生要因として、担当者を一人決めてしまいます。
私どもの自主防災会では心理療養士さんにお任せすることにし、
平時は住民間で状況を情報共有しています。
6.住民台帳があるから、会長職を辞任できませんでした。
最後になりますが、わたしの一番の反省は「いたずらに任期が長かった」原因が
住民台帳にあることです。
皆さん、個人的に私への信頼で、情報を寄せてくれたとのことで、
管理組合や理事会であれば、情報を預けたくない…と
何度も、会長職の交代に「まった」をかける原因となりました。
戸別訪問に関しても、わたし以外は受け付けない方がいらしたのですが、
その時に、もう少し頑張ればよかったと反省しています。
自主防災会長でも被災しますからね、自分以外の誰かがやっても
機能するようにしておきたい…当初から思っていたのに、
住民台帳によって、大分道が外れてしまいました。
また、もうひとつの反省として、個別相談に乗ったことで
現状課題は見えましたが、普通であれば
メンタルがやられたんじゃないか、と思うこと。
私自身は、おそらく(まあ、確実に)かなりメンタルが強く、
修羅場も経験したと思うので、負担になるまでにはならないですが
通常は お辛いのではないかと思います。
ですので、住民台帳を作成する場合には、複数人で取り組み、
傾聴などを活用して、聞いたことをそのまま一人でためこまないようにしましょう。
以上が、住民台帳をつくるさいに、わたしが経験したあれこれです。
お読みいただき、ありがとうございました。
<蛇足ながら>
初年度の「災害たすけあいシート」は戸別訪問しつつ実施したのですが、
賃貸部屋で長年「反社会的活動拠点」となっていた会社が、
「月曜日に取りに来てください」というので、月曜日に足を運んだら、
目の前で お引越しされていくところでした。
トラックへ走り寄ったら「悪いね、あんた大したもんだ」と笑っていました。
シートを受け取ってくださったので悪い人じゃないんだな、と
思っていたのにショックでしたが、住民にはとても喜ばれました。
長年、退去をお願いしていたのだそうです。相対でお話ししたのは、
私が最初で最後でした。
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