自助備蓄率を上げるためには。
災害対策基本法や国交のマンション政策で、
結論から言えば「風水害にマンション住民が対象外」となったのですね、
どうりで、最近オファーがあるわけです。
1.うちのマンションの備蓄率
2019年度にリサーチした、うちのマンションアンケートでは、
マンション住民の非常食、災害用水、災害用トイレなどの
2週間分の自助備蓄率が 82~83%になっています。
それで、そのコツを…と言われると「防災訓練をしなかったこと」だと思っているのです。
まったくしていないとは言わないんですけどね、
誤解を受けないように 記事にしてみます。
2.それで一体何になるんですか?という質問。
うちは割と頻繁にアンケート調査をしたかと思うのですが、
地域の防災訓練(ごく一般的)に対して、時間のムダだというご意見が多かったのです。
そこで、それを深掘りしたところ、このようなご意見を賜りました。
●ホースの訓練をしたけど、それが自分と何の関係があるか分からない
●一通り訓練に出たが、自分の家において、何をすればいいか分からなかった
●マンションと戸建ては被災状況が違うのに、戸建てだけに特化された訓練だった
●備蓄したいと思っているのに、それについては何をどれだけ、というアナウンスがない。
現在のアンケート回収率は92.3%、クレームもふるってます。
「自分は海外出張が多いが日頃防災について色々考えてもいるから
アンケートを楽しみにしているのに、実施期間が短すぎて
自分の意見が反映されないことが残念だ。次回からは
回収まで1ヶ月以上をとってほしい」
3.まずくて、くさいのはいやだ。
自主防災会を立ち上げる時(12年前)10人くらいで集まりましたが
その時に 運命を決める一言が出ました。
宇田川さんには悪いけど、防災がきらいなの。
災害時って、被災しただけで心が折れるじゃない。
なのに、強制的にまずいものを食べさせられて、臭い思いをするんでしょ?
がまんだ、がまんだ、って怖い画面をいっぱい見せられて
このセリフは殆どの方が思ってるんじゃないのかなぁ。
私も 心が折れた時、温かくておいしいものを出してくれたら、
勇気が出るなと思いました。
だけど当時の防災の担当者からは「甘ったれるな」と言われてしまいました。
そうしたら「きらいです」と言った方が色々調べてくれて言いました。
「日本の防災はそうだけど、ディズニーランドでは毎日15分の訓練をしているらしい。
アメリカの法律では違うのではないか。宇田川さん、調べてほしい」
4.うちの防災の基本はアメリカ安全保障省の危機管理マニュアル
女子連が防災プロの意見を軽々と全面否定したので
ちょっと面白くなって、わたしも調べてみました。
あんまり違うし、アメリカ特有の壮大な言い回しに笑いもしました。
それで、英国やスウェーデン、中国も安全局とかは英訳されてるので
色々読んだ結果「なんかいやだ」の「なんか」は結構重要だなと思ったのです。
そこからは、たぶん、うちのマンションは独自路線でしょうねぇ…
集まった時には「ググって見つけたおしゃれな防災グッズ」などを話すように。
もちろん、話としては「地元のおいしいもの」とか「健康」とか「孫や介護」が95%、
防災グッズのはなしは、1割にもなりません。
5.防災展示会を10年以上継続
うちは防災展示会を10年以上継続しています(コロナ禍は休止しました)。
継続するうち、実はこれは「本部設営」の訓練だ、と気が付いたんですね。
例年、72世帯のうち、43名が参加希望、エントランスがせまいので、
搬入ボランティアと搬出ボランティアに分け、終了後、打上げです。
最初の年は、大失敗しています。理事会で話し合って、展示会をしたのです。
監査法人として有名な方と被災地ボランティアをした私の画像を
エントランスロビーに掲示。
あっという間に住民から反対にあって、外されてしまったのです。
せっかく乗り越えたのに、帰宅してすぐ怖い画像を見たくない。
こどもが怖がって、家に入れない
一方で、せっかく「おしゃれな防災グッズ」を買ったけど、披露する場所がない…
ということで、翌年からは「イチオシ防災グッズ」みたいなかんじで
展示会がスタート、国際展示場の小さいの…みたいなかんじでした。
当初は1日だったのですが、皆さんからのご意見で現在1週間展示し、
製造元の企業さんをお呼びして「展示即売」をしているものもあります。
6.アレをちょっと試してみたい=訓練
で、疑問をもったり、お買い物を使ってみたいけど…という結果が
「訓練」だったのかもしれません。
かわいい消火器を買ったけど、実際使えるのか試したい
思いのほか布担架が可愛くて安かったので買っちゃったけど、使ってみたい
資機材のセットを買って思ったけど、これをしょったまま階段を昇り降りできるのか?
高齢者は階段の昇り降りがきついらしくて、ペットボトルを足につけると分かるらしい
声が上がるごとに、少しずつ試したかんじで、10年経ったら
かなりな訓練を終えていました。
7.安否確認は 1フロアで15分前後
中でも、すごかったのは「安否確認」かなぁ。
実際やってみて、報告の内容を書いた方がいいよ、が1回目。
書いたは書いたけど、自分でも自分の字が読めない、が2回目。
いちいち報告を聞いてたら時間かかって飲みに行けない、3回目。
そこで、ステッカーをつくり、フォーマットをつくり、
「短く明確に」するために、報告シナリオが決まりました。
1回目は 1フロアで 45分以上かかりましたが、
現在は へたをすれば5分かからないフロアもあるかもしれません。
8.共助備蓄はゼロ。
すごそうに聞こえるかもしれないですが、ぜんぜんです。
そもそも、防災備蓄庫には 現在は規格外のトイレがあるだけで。
安否確認も、日程合わせが面倒だから、フロアやご近所まかせ。
でも、災害トイレの自助備蓄率が高いからいいかなぁ…とか。
資機材もリストチェックしてみると、誰かが持ってるモノなんですね。
テントは●●さんがあるし、投光器は●●さんも、●●さんも持ってるし、
バッテリーは●●さんがもってるし、階段カートは●●さんがもってるし、
だめなら布担架で運べばいいし、
机はないけど麻雀やってる●●さんちの卓を貸してくれるらしい…みたいな。
防災部長としては、これではいかんなぁ、と思うものの、
市の補助金使うための既存自治会の承認はおりないし、
委託管理会社は総会屋みたいな対応で、自社・子会社の買物しか薦めないし。
管理会社が横暴になんか言う度「楽天で●円だった」「モノタロウなら●円だ」と
誰かが買物してきたりするので、結局のところ、最終的には
ツールがそろう気がしています。
いざとなれば、みんなで持ち寄ればいいんじゃないの、みたいな。
9.防災は自己と他者の意識を埋める作業。
12年間、防災部長をさせていただいて、本当に感謝しています。
とにかく、ほんと、色々な方がいらして、
そして、お互いがお互いを尊重できたことに感謝です。
非常備蓄なんて、ワンコインで買えるけれど、隣人は買えない。
おうちは選べるかもしれないけれど、よい隣人を選ぶことは難しい。
そういう意味で、わたしはとてもついていました。
防災に突っ走る人、防災とは関係ないのにナンダカを議案にする人、
親子げんかで家出して涙する子ども、
いつの間にか人生を終えた伴侶の方やご家族にお互いが手を合わせた日、
もう、とにかく色々ありましたが、ありがとうの一言。
そして、最後に。
うちの若き防災部長に。そして、迷える方々へ。
ちょっと辛口に言うなら
「みんな●●すべき」「みんな●●だ」「ぜったい地震来るよ」
みんなや災害来る来ない論を語る方が、
きちんと対策しているところは見たことがありません。
みんなじゃなくて、自分です。
自分ができることは何か。分からないことは何か。
行政の言うことを、そのまま住民に支配的に伝えることはリスクです。
行政がつくる法律は、行政を守るためにできています。
だから、素直にまっすぐな疑問を投げつける住民こそ、大事にするべきです。
防災は自分と他者との意識を埋める作業です。ひとつずつ、埋めていくうち
自分が違っていた…ということもあるのです。
だから…なによりも、住民へのリスペクトを。
今、目の前にいる方に、きちんと耳が開いたか、どうか。
その方を世に出して、育てた方がいる…自分にも親がいたように。
それが「いのち」というものなのかな、と思っています。
だから、リスペクトする…
防災のハウツーよりも、目の前の方へのリスペクトに本気になるように…
新会長よ、よろしくお願いします。
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