OverDriveと日本のデジタル書籍
2010年に、コスモピア社の書籍で OverDriveとハワイでの多言語教育について
執筆させていただきましたが、国内においては、現在それぞれの地方自治体が
OverDriveを導入しており、実績データが出ている状態です。
先週、国際展示場で 日本のOVerDriveの現状を拝見し、
いくつかの気になる点を書いてみます。
1.エンドユーザーへの目線
国内公立図書館等では、元々 OPACというシステムを利用していて
このシステムだと、ローマ字表記を画像化するなど、無理がありました。
OverDriveは所蔵システムではありませんが、電子書籍そのものが
DB化されていますから、管理等もコミコミで、図書館スタッフの負担が軽減します。
私はハワイ図書館でのOverDriveユーザですが、期限になると
該当書籍が透過されて「さようなら」を告げてきます^^;
さて、元々のこの「電子書籍」の根底には、エンドユーザの格差を埋める…という
ところにありました。たとえば、図書館から遠い…
(米国の州によっては図書館からの距離で、図書館税の金額が決定)
視覚障害がある方への音源提供、書籍を購入できない経済事情、
その他、移民の方への言語政策(多読を含む)…それらの目線なくしては
公共事業として成り立たないんだと思うんですね…
2.出版業界への「義務」と法
とても残念ですが、ある部分の出版業界がごっそりと、
日本のOverDriveから抜け落ちています。
OverDrive以前に、大学図書館等へ提供された電子書籍参加企業ですね。
これらは利益部分がかかりますから、仕方ないのでしょうが
なんとも残念でなりません。そのうち、大手大学出版のいくつかは
海外のOverDriveにもなかったので、残念だと思っていたのですが。
もうひとつ、韓国経由の子ども絵本などが 所蔵されていないようです。
国内の出版業界と欧米の出版業界、どちらも映像産業の興隆で
いま一度あり方を問われているのだと思うのですが、
そもそも論として、「出版業界の義務」づけが米国などでは異なります。
米国出版業界では、各出版物の ○割を、図書館へ寄贈すること、という
義務付けがあり、それは移民や貧困社会への配慮をしたものです。
日本の出版業界には、そうした「義務」がありません。
3.「国をあげて」の取り組みには。
レンタルや図書館…などをめぐる法は、
著作権、映像権、肖像権、個人情報…等々ありますが、
日本では、出版側を守るものがあっても、「義務」がないんですね。
これは、社会全体の「教育」に対する目線ではないかと思っています。
真の国際人を育てる…という、赤面しそうなコトバに対して、
アジア諸国は、Reading部門からだ、ということで OverDriveを利用しました。
インド、韓国、中国…経済大国の根底には、言語教育がしっかりとおかれ、
各企業もそこに参加しているんですね。
もしも、権力というものがあるのなら、利用するのは こういうところですよね。
知る権利や、なんとかする権利…は、
芸能人の私生活を知るためにあるんじゃなくて、
大きな理念のもとに あるべきだろうと。
今回のOverDrive に不参加企業の背景には、
その取り組みが「国をあげての教育」ではなく、ただの「商売」だから。
インバウンドをねらう…という政策の担い手を作らずして、
インバウンドを語っている…こういうところが「鎖国的」。
理念がからっぽなのは、地方自治体の前に、国家なのか?と
残念気分でいっぱいです。
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